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オトナインタビュー

adult's interview

生き方は世界にたくさんある。 だからやりたいことをやればいい。

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2013年01月20日
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近藤 淳也
1975年生まれ。三重県育ち。京都大学理学部に入学、後に京都大学大学院理学研究科へ入学。株式会社はてな代表取締役社長 兼サービス開発部長。 主なサービスに、「人力検索サイトはてな」「はてなブックマーク」などがある。京都に10年住んで、東京に2年住んで、シリコンバレーに1年半住んで、現在京都在住。
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    音楽の常識を変えたのは、開発者の技術とアイデア。

    学生時代で最も大きな経験は何ですか。

     

    大学3年の夏休みに自転車でアメリカ横断したことですかね。


    なぜ自転車でアメリカ横断しようと思ったのですか。


    もともと自転車が好きなんですよ。小学生の時くらいからかな…。中学生の時には遠出するようになって、高校生の時に三重県から千葉県まで自転車で行って帰ってきてたりして。小学生の頃はママチャリで、父親と一緒に「今日は隣町まで行ってみようか」みたいな感じでした。それがすごい楽しかったんですね。


    で、大学でサイクリング部に入って、日本全国行きましたね。アメリカ横断に至ったのも、「日本周ったし、アメリカでも行くか」って感じで、行きと帰りの航空券だけ買って。「陸繋がってんだから、走れば着くだろ」って感じでしたね。


    アメリカ横断の経験を経て、感じたことは何ですか。

     

    アメリカが初めての海外だったので、行ってすぐに思ったのは、自分が何者でも無いなと。日本だと肩書きとかラベルとかで通じるんですけど、アメリカで京大生って言っても意味がない。「Who are you?」って聞かれて「I’m Junya.」って言うけど、ほんとそれ以上の何でもない。20歳の自分は何者でも無いんだなって思いました。20歳頃ってみんな「将来何しようかな」って考えると思うんですけど、何でも出来るんですよ。


    何者でも無いと思った一方で、何者にでもなれるんですよね。海外に、道端でアイスクリーム売ってる叔母さんっているじゃないですか。僕らもアメリカでアイスクリームを道端で売るって決めたら、なれる。でもそんなこと考えたこともないでしょう。

    世界にはものすごいたくさんの生き方がある。そして、何者にでもなれるんですよ。何者にでもなれるからこそ、自分でよく考えて、自分で決めないとな…って思いました。


    今のやりたいことにつながる原体験はありましたか。


    ロッキー山脈越えて、五大湖に向かう間が、めっちゃ長くて、めっちゃ暇なんですよ。真っ直ぐな道が1000km続くところがあって、もうなんにも無くて…。地平線の50km先の街が見えてるんですけど、2時間かかる…みたいな。



    ほんとに退屈してた時に、道でウォークマンを拾ったんですよ。で、電池とスピーカーとカセットをガソリンスタンドで買って、音を鳴らしたんですよ。そしたら、音楽がすごいこう…体に沁みて…。「音楽ってすごいな。ウォークマンってすごいな。」っていうのを身に染みて感じました。ウォークマンなんて以前から知ってたんだけど、改めてウォークマンすげーって思いました。人が音楽を持ち運べない時代から、場所を選ばず楽しめる時代に変わったじゃないですか。そんな人類の生活を進化させたのって、ウォークマンの開発者の技術とアイデアじゃないですか。その開発者がモノを創って、世に売り出すことで、世界中の人の人生を変えている。生活を変えたわけですよ。僕はそれに感動して、なんか…「仕事をやるなら、こういうことをやりたいな」ってそのとき思って。


    新しいモノを創って、なるべくたくさんの人の生活がちょっとでも変わって…。そうなった時に、「最初にあれ創ったの僕やねん。」って言いたいんですよ。そんなんを世の中に残せたら、それでいいやって。それがアメリカ横断の経験から思ったことですね。


    知らない所を開拓していく感じが、すごく好き。

    自転車の魅力ってなんでしょうか。


    今まで行ったことのある道や街があるじゃないですか。それを越えて、まだ行ったことのない道に入っていって「この先どうなってるんだろう…」って、実際に行ったことのないところを走る。行ったことない場所を開拓していく感じ。それがすごい好きで…


    あと、身近じゃないですか。自分が普段行くところの延長にある場所を起点に世界を広げていける。そんな自分の生活の延長にある未知の世界を開拓していく感じが好きですね。


    そういった自転車への想いが、今のやりたいことに繋がっているのでしょうか。

     

    まあ確かに、手作り感みたいなのは近いかもしれないですね。インターネットも大学で教えてもらえる訳じゃないし、僕が始めたころは、インターネットが生まれたばかりで誰も専門家なんていなかった。その中で、「こんな仕組みあったら面白いんじゃないですか」って自分たちでシステム作って、世の中に提示していく。そんな未開拓な領域を一番先頭切って、突っ込んでいく感じなんで…そういう意味では自転車での冒険的な感覚に近いかもしれないです。僕はそういうのが好きなので続けていきたいです。



    大学生に伝えたいことはありますか。


    直感的に面白いと思うことを本当に真剣にやって欲しい。これをやったら将来これに役に立つとか打算的なことは絶対考えない方がいい。


    夢に期限を決め、逆算して行動する人もいるようですが。なぜ打算的なことは考えない方がいいのでしょうか。


    だって、「アメリカを自転車で横断したら何かになるんですか?」って言われたら…。そんなこと言い出したら何もできないじゃないですか。ただやりたいからやるだけですよ。アメリカに行ったら何があるなんて分からないし、ましてやそれが何の得になるのか…損か得なんて誰にも分からない。その時は自分が‘やりたいこと’をちゃんとやってるだけじゃないですか。その時に未来がどうなるなんて絶対分からない。

    もちろん続けていくと上手くいかないことの方が多いし、苦しいときもあるんだけど、最期に「それでも僕はこの仕事をやりたい」と思って頑張れるのは、「今の仕事が本当に面白い」と思える原体験から感じる想いが、苦しいときの拠り所になってくれるからなんですよ。でもそういう原体験って、そう簡単には見つからないんですよ。だからいろいろ動かないとダメなんですよ。


    やってみないとわからないということですね。


    そうそう。しかもその時って、どう繋がるかなんて予測できないですよ。でも、自分が面白いと思えることを真剣にやってると、ある時見えるものなんですよ。だから打算的に考えない方がいい。これをすればあれに繋がるっていうのは、せいぜい2,3年の話です。そんな短いスパンのことは、はっきり言って、若い頃はどうでもよくて、一生大切にできる想いを見つけることの方がよっぽど大事で…。

    それを見つけるには何年も掛かるんですよ。しかも、見つけてからといって、それが来月に役に立つとかじゃない。5年後とか10年後とか本当に苦しいときに「どうしてもこれだけは捨てられません」という想いとして出てくるものです。そんなものをすぐに得ようとすることが間違ってると思いますよ。


    大事なのは「やりたい」「やれる」って思うこと。

    もっといろんな世界を見た方がいいのでしょうか。

     

    明確にやりたいことがあるなら、それをやった方がいい。例えばITベンチャーを起業するとか。それもやりたいことじゃないですか。ビジネス的であるとか仕事っぽいとか、そんなことすら関係ないですよ。本当にその時自分がやりたいことをやるべきです。それを中途半端にやっちゃうと、結局自分が本当にやりたいことがわからなくなる。ただ、いろんな生き方を知るという意味では、いろんな世界を見て欲しいです。



    「起業」も、やりたいことならやるべきだと。


    そうですね。それに起業家が増えるといいなって思います。戦後にベンチャーだった企業の中で生き残って大きくなったのが今の大企業ですよね。組織も生き物なので、50年経って大きくなった企業の急成長は難しいんですよ。やっぱり新しい企業が生まれないと産業の成長はないと思います。「じゃあ誰がやるの?」ってなったら基本的には若い人が起業するしかないんですよ。でも、そのような産業や経済の成長に繋がる起業の大事さ、みたいなものが社会の中で共有されてないんですよね。大企業に入ることがスゴイという価値観が一般的なので、起業家が変わり者のように見られることもありますし。


    周りの目を気にする風潮もありますよね。


    社会がどうだから、周りがどうだから、なんて気にしないでいいですよ。起業も天才的な能力に依存して語られることが多いんですけど、僕は全然そう思わないです。アメリカを自転車で横断するように、行けば誰でも自転車こげるんですよ。起業だって何ら変わりはないと思います。何かに挑戦するのに世界一の能力が必要な訳じゃないでしょ。大事なのは「やりたい」「やれる」って思うことなんです。



    (文=大塚康平)


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